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子宮筋腫

子宮筋腫は、子宮の壁(筋層)にできる良性の腫れ物です。
悪性への変化はほとんどないので、痛みなどがなければ放置してもかまいません。
しかし、自然には治りません。

最も多いのは45〜50歳。
成人女性(生殖年齢にある女性)の3〜4人に1人が持つ、ありふれた症状です。

患者の8割が大小多数の筋腫ができています(多発性筋腫)。
子宮内膜症や子宮腺筋症を合併していることが多く、5〜7割が子宮内膜症を、5〜6割が子宮腺筋症を合併しています。

子宮筋腫の治療法は、人生設計でを決めます。
1 子どもは望まない。自分の健康を最優先→そのまま様子を見てから、子宮を全摘
2 すぐに子どもが欲しい。核出術が可能→すぐに手術
3 いずれは子どもを生みたい→手術を勧めない(特に多発性筋腫)。子供を生む状態になったら筋腫だけ摘出

□自覚症状
月経量が多い(過多月経)
月経痛がひどい
下肢痛
腰痛
下腹部膨満感
頻尿
排便痛
おりもの
不正出血
便秘
下痢

□原因
はっきりしたことはわかっていない
1 エストロゲン(卵胞ホルモン)
プロゲステロン(黄体ホルモン)は筋腫の発育をおさえる
2 免疫力の低下

□種類
1 筋層内腫瘍 約7割がこのタイプ
子宮筋層の中にできる
子宮筋腫が大きくなると、子宮腔が引き伸ばされ、内膜面の面積がふえる

月経量がふえる
月経期間が長くなる

貧血

2 漿膜下筋腫 約2割がこのタイプ
子宮筋層部から外に向かって盛り上がる筋腫
細い茎でつながりながら子宮の外側で発育する場合もある(有茎漿膜下筋腫)
大きくなると周辺の臓器を圧迫

尿が近くなる
尿が出にくくなる
便秘
腰痛

腸の動きで茎がねじれる

筋腫に血液が流れなくなり猛烈な痛みが起こるお(茎捻転)

3 粘膜下筋腫 約1割がこのタイプ
子宮の内腔に向かって成長
小さくても症状がひどい(過多月経・過長月経・激しい月経痛・ひどい貧血・黄色みを帯びた水っぽいおりもの・不正出血・不妊)
子宮の内部にぶら下がる(有茎粘膜下筋腫)

月経の度に筋腫を外に排出しようとして強い子宮の収縮が起こる

強い痛み
筋腫が子宮口から膣へ飛び出す(筋腫分娩)

□診断
問診

内診 下腹部にしこりがある

鑑別診断 画像検査(超音波断層法)

鑑別診断 MRI・子宮鏡検査・血液検査(腫瘍マーカー)

□治療法
【経過観察】
つらい症状がない場合や妊娠を希望しない場合は、定期的に受診し、進行がないか様子を見る
基礎体温の測定
月経時の様子(月経痛・月経量)や体の情報を記録する

【対症療法】
1 薬物療法
漢方薬による症状緩和
止血剤・鉄剤による貧血改善
鎮痛剤による疼痛緩和

2 ホルモン療法
1 偽閉経療法
GnRHアゴニスト
性腺刺激ホルモン遊離ホルモン作動薬(スプレキュア、リュープリン)で下垂体に働きかけて、性腺刺激ホルモンの分泌をおさえることでエストロゲンを低下

ダナゾール
女性ホルモンの分泌を低下させる薬

2 偽妊娠療法
ピル
排卵をおさえることで、エストロゲンのレベルが下がる

□手術
【保存的手術】
1 腹式子宮筋腫核出術
腹部を切開して筋腫を核出する
2 腹腔鏡下子宮筋腫核出術
腹腔鏡を使って筋腫を核出する
傷口が小さくて済む
3 腹式子宮筋腫稔除術
主に有茎粘膜下筋腫を対象に、膣から行う
4 子宮鏡下筋腫核出術(TCR)
膣から電気メスのついた子宮鏡(レゼクトスコープ)を入れて粘膜下筋腫を切除
5 子宮動脈塞栓術( UAE)
子宮に栄養を送っている動脈に一時的に詰め物をして、血液の流れを止め、筋腫が栄養補給されなくなり、小さくなる

【根治手術】
1 腹式単純子宮全摘術
腹部を切開して子宮を摘出
2 膣式単純子宮全摘術
膣から子宮を摘出
3 腹腔鏡補助下膣式単純子宮全摘術( LAVH)
膣式単純子宮全摘術を安全に行うために、補助的に腹腔鏡(ラバロスコープ)を使う

□手術の選択
ポイントは麻酔
手術後も痛みのストレスがないほうが、回復がはるかによい
1 全身麻酔
2 脊椎麻酔(腰椎麻酔)
脊椎のクモ膜下腔に麻酔剤を入れて脊髄神経を麻痺させ、下半身の痛みを感じさせなくする
3 硬膜外麻酔
脊椎の硬膜外腔に麻酔剤を入れて、脊髄神経を遮断して痛みを取る

□手術後のケア
合併症、特に血栓症の予防がポイント
手術から2〜3日 点滴(脱水予防、抗生物質などを入れる)、流動食
手術から3〜4日 普通食
手術から7〜10日 退院

□子宮筋腫とつきあう
1 出血の対処法
出血には大人用おむつや尿取りパットを使用
出血に伴う貧血は軽視しない
貧血の自覚症状がなくても、臓器に負担がかかり、心肥大や免疫力低下を招く

2 痛み
ひどくなる前に痛み止めを飲む
1回の月経で使う痛み止めの総量がへらせる
抗プロスタグランディン製剤が効く(バファリン、ポンタール、ロキソニン、ボルタレン)
※効きにくい鎮痛剤
腸の運動を鎮めるブスコバン
流産予防剤のズファジラン、ダラチル
鎮痛剤の副作用は肝機能障害・白血球減少症・汎血球減少症・腎機能障害

3 ストレス
ストレスが免疫力を落とす
パートナーの考え方や子宮の病気への偏見が、ストレスになりやすい
子宮イコール女性という偏見をなくすこと
自助グループやインターネット、医療関係者以外からの情報も大事

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