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カゼに抗生物質は効かない

日本呼吸器学会は、2003年にカゼの診療指針「成人気道感染症診療の基本的考え方」をまとめました。
翌年の2004年11月に、日本小児呼吸器疾患学会と日本小児感染症学会は、「小児呼吸器感染症診療ガイドライン2004」をまとめています。

この2つの指針で、カゼの治療に抗生物質は効果がないと指摘されています。

カゼは、鼻からのどまでの「上気道」が炎症を起こした状態。

カゼの9割はウイルス感染が原因です。
抗生物質(抗菌薬)は、体内で細菌が増えるのを抑える薬ですから、ウイルスを抑えられません。
インフルエンザを除いて、有効な抗ウイルス薬は存在しないのです。

それでも、今なお、多くの医師、特に小児科医は、カゼの患者に抗生物質を処方します。
その理由は、溶連菌感染症(※)、中耳炎などの細菌感染症の可能性もあるためです。

しかし、海外の研究で、抗生物質はカゼの症状改善に効果がなく、細菌感染も予防しないという結果が出ています。

また、抗生物質の乱用は、下痢やアレルギーを招いたり、薬が効かなくなる「耐性菌」を増やしたりします。

カゼを治すのは、薬ではなく休養と栄養。
睡眠をじゅうぶんに取り、水分とビタミンを補給しましょう。
普通は3~7日で治ります。
体力が低下している場合は、14日くらいかかることもあります。

セキや鼻汁などがひどくて、体力を消耗していれば、症状を抑える薬を飲んだほうが体が休まります。

発熱は体がウイルスと戦っている免疫反応で、ウイルスが増殖しにくい環境を作っています。
ただ、高熱だと体力を消耗するので、解熱剤を短期間使用したほうがいいでしょう。

カゼの発症時、特に発熱時は、最もウイルスを他人にうつしやすいので、外出は避けてください。

症状が4日以上続いたり、徐々に悪化しているときは、受診します。
カゼで受診する目安は、下記のとおりです。
1 39度以上の熱が出た
2 発熱に加え、発疹やリンパ腺の腫れ、腹痛、頭痛などの症状が出ている
3 1日に何度も吐いたり、下痢をしたりする
4 セキがひどく、眠れない
5 鼻汁が黄色、あるいは緑色である→細菌感染の可能性がある
6 のどが激しく痛み、腫れている→細菌感染の可能性がある
7 子どもの場合、視線が合わない、眠りがちなど、ふだんと様子が違う

○まとめ
普通感冒(鼻咽頭炎) [症状]いわゆる鼻カゼ。鼻汁、鼻づまり。熱はあっても38.5度以下 [抗生物質の使用]有害無益とされ、適応がないとする報告が多い
咽頭炎・扁桃炎 [症状]発熱、悪寒、だるさ、頭痛、のどの痛み、扁桃腺の腫れ [抗生物質の使用]多くはウイルス性であり、溶連菌感染を除き、投与は不要
クループ症候群 [症状]犬の遠吠えのようなセキ。声がれ。呼吸困難 [抗生物質の使用]多くがウイルス性であり、一部の細菌感染を除き、不要

※溶連菌感染症:ようれんきんかんせんしょう

○症状
A群β溶血性連鎖球菌(溶連菌)という細菌の感染で起こる病気の総称。
溶連菌はありふれた細菌の一つです。
溶連菌に感染したり発症したりするのは主に幼児や学童で、乳児が感染することは比較的少ないといえます。

溶連菌に感染すると、まず、咽頭炎や扁桃炎など、いわゆる「のどカゼ」の症状が現れます。
39度前後の急な発熱で始まって、のどが赤く腫れて痛み、のどの入り口も赤く炎症を起こしています。
首のリンパ節が腫れたり、中耳炎などを起こしたりします。
また、吐きけや嘔吐、頭痛、 腹痛、筋肉痛や関節痛を伴うことがあります。

その後、赤くて小さな、かゆみを伴う発疹が、首、胸、手首、足首に現れ、全身に広がる場合もあります。

舌が白いコケに覆われ、3~4日するとイチゴのように赤くなってプツプツになります。
これは「いちご状舌」と呼ばれ、溶連菌感染症の特徴の一つです。
そして口角も荒れます。

○治療
抗生物質を10~14日ほど飲み続けて治療します。
処方された抗生物質の量と回数を守って服用しましょう。
発熱や発疹が治まっても、細菌は体に残っています。
途中で薬をやめてしまうと、症状が再発します。

また、急性腎炎やリウマチ熱、アレルギー性紫斑病などの合併症を起こすことがあります。
合併症を防ぐためにも、抗生物質を飲み続ける必要があります。

幼児から学童期の子どもの場合、1~2日で熱が下がって発疹も軽くなり、1週間以内でのどの痛みは治ります。
その後、指先の皮膚が薄くべロベロとむけ、3週間程度で治まります。

3歳以下の子どもの場合、熱や発疹が出ず、のどカゼと同じ症状しか現れないことがあります。
そのため、ウイルスによる咽頭炎や扁桃炎と区別しにくいといえます。
2日以上のどが腫れて痛むときや高熱や発疹が出たときは、カゼと自己診断せず、必ず小児科を受診してください。
抗生物質を飲めば、症状は2~3日で軽くなります。

○ホームケア
脱水症状を防ぐために、こまめに水分を与えます。
のどの痛みが強い時期は、のどに刺激を与えない、消化のいい食事を与えます。
体力を消耗しないようにすれば、おふろに入れてもかまいません。 

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