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触れ合う効果

触られた人だけでなく
自分自身も安らぐ

 私たちは、だれかと肌を触れ合わせて生活することがたいせつです。肌の温もりの気持ちよさ、そこから得られる安らぎは、とても幸せな感覚。
 ですから、もし、いっしょに暮らしている家族やパートナーがいるのなら、ためらわずに触れてください。
 赤ちゃんや幼い子どもは、たくさんなでて、抱っこして、キスをしましょう。
子どもへのスキンシップで身体感覚を養うことは、子どもの心の発達にもつながると、発達心理学の分野で報告されています。
 そして、スキンシップの効果は、大人から子どもへの一方方向ではありません。触れている大人も、孤独や不安を癒されているのです。
 子どもが思春期に入り、抱き締めるのに照れやためらいがあっても、マッサージをしてあげるなど、いろいろと理由をつけて触らせてもらうといいですね。
 そして、年老いた両親は、人生の寂しさを感じ、触れ合いを必要としています。優しく体をさすってあげて、いたわり、力づけてください。
 中には、幼いころに両親から抱き締められた経験がなく、あるがままの自分を受け止めてもらえなかったと、寂しい思いをした人もいるでしょう。そのような両親にこそ、自分から手を伸ばし、体に触れてあげましょう。

親子で触れ合う時間が
持てなかった前の世代

 昭和30年代以降、日本の社会では核家族化が進みました。そのため、当時の親たちは、前の世代のサポートや育児経験の伝承を受けることなく、子育てをしなければなりませんでした。
 出産に焦点を当ててみると、やはり昭和30年代以降、自宅出産から医療施設での分娩へと急激に進みました。医療の管理のもとでの出産が、衛生的で安全だと考えられました。しかし、陣痛促進剤(陣痛を起こしたり強めたりする薬剤)を使用したり、会陰切開(出産時に会陰をハサミで切ること)を行ったりする、医療に任せた“効率的”な出産は、母親にとって孤独で、つらい経験になってしまったのです。そして体力を消耗した出産直後から、たった一人で子育てに取り組まなければなりませんでした。
 このように、出産や子育てをゆったりと楽しむ余裕もなく過ごしてきました。それはそれで、時代の流れでしたので、しかたがなかったのです。
 ただ、人と人との関係に、取り返しのつかないことはありません。子どものころに親からのスキンシップが足りなくても、自分から親にそっと寄り添い、体ごと受け止めることで、安らぎに満ちた関係をこれから築けるはずです。
 一人で暮らしている人は、自分で自分を気持ちよくさすることもたいせつですが、できれば触れ合えるパートナーを探してください。
 一方、せっかくパートナーといっしょに暮らしているのに、それぞれの役割分担をこなすだけで、肌を触れ合わせる機会が全然ない人もいます。これは、あまりにももったいないことです。
 女性の体は、ホルモンに大きく左右されています。ホルモンの分泌はストレスの影響を受けるのですが、日常生活のストレスはスキンシップで解消します。特にセックスは有効です。
 女性の場合、健康の面でも、だれかと肌を触れ合わせ、心身の緊張を解くことがたいせつなのです。

体と向き合うことで
人生が豊かになる

 ところで、更年期や月経時に起こる不快な症状で、「めんどうくさい」「だから女は損だ」と自分の体に肯定的になれない女性が多いようです。
 しかし、地球上には、閉経や月経を喜んで迎える文化もあると、『オニババ化する女たち』(三砂ちづる著)に書かれています。
 ブラジルのアマゾンに住む先住民の村では、女性が閉経すると、とても喜ぶのだそうです。閉経によって生殖と離れ、セックスだけを楽しめるからです。活発にセックスをすることで、女性はいきいきとしてくるのでしょう。
 また、北アメリカの先住民は「月経の度に女は生まれ変わる」と考えているとのこと。およそ1カ月の間にたまった老廃物などを、月経できれいさっぱりと脱ぎ捨てることができるわけです。
 そして日本でも、昔の女性たちは、月経血を自分の意思で出したり止めたりして、コントロールすることができたと書かれています。排尿するときと同じように、膣でためていた月経血をトイレで出すのです。このように月経血をコントロールすることで、月経がダラダラと続かず、個人差もありますが3日ほどで終わるのだそうです。
 月経、出産、閉経は、女性だけができる豊かな経験です。もっと積極的に女性としての体と向き合い、いとおしみ、自分が女性であることを楽しむといいでしょうね。
 今の日本では、多くの人が漠然とした生きにくさを感じているように見受けられます。だからといって、自分の殻に閉じこもったり、周囲の人にいらだちをぶつけたりしても、孤独感がいっそう増すだけです。
 まず、目の前にいて、触れ合える家族やパートナーをたいせつにして、肌の温もりに触れること。そして、ふっと満たされるような体験を重ねることが、自分自身も、家族をはじめ周囲の人たちも、あるがまま受け止めることにつながるのです。

参考文献/『オニババ化する女たち』(光文社新書、三砂ちづる著)

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