カテゴリー「育児」の26件の記事

性器を触る癖がある子どもへの対処法

 「性器を触る癖がある子どもには、どのように親は対処したらいいのか」というテーマで、精神科の明橋大二医師に取材したことがありました。
 明橋医師は親が「汚い! 触ったらダメ!」と注意するのではなく、「大事なところだから、きちんと手を洗ってから触ろうね」と語り掛けてくださいとのこと。
 性器も子どもの体の一つ。その部分に向かって「汚い」という言葉を親が発することで、子どもは自分の体が汚いと否定されているような気持ちになるようです。
 また、性に関することでも「汚い」「ダメ」という表現によって、大事にしなくてもいいとメッセージを送ることにつながるかもしれません。

 明橋医師は子どもの援助交際や不純異性交遊について言及していました。

 性教育によってセックスで妊娠する可能性があることは、子どもたちはじゅうぶんにわかっている。しかし、性教育をみっちり行っても援助交際や不純異性交遊の抑止につながっていない。それはなぜか。
 子どもたちの自分の体に対する肯定感が低いから、性に関することも含めてぞんざいに扱っているのだ。
 性器を含め自分の体は大事、性は妊娠や出産に関係することだから大事。そんな思いがあると、子どもたちは性を含め自分の体をもっと大切にするようになる。

 そんな話でした。「なるほど。そういう関連性もあるんだ」と私は納得しました。
 「大事にしようね」「大切だよ」と語りかけるか、「汚い」「ダメ」と語りかけるかで子どもに刷り込まれるイメージは大きく変わるわけです。逆に親についても、語り掛ける言葉が「大事」「大切」だったら声を荒げたり、嫌悪感をにじませたりすることもないはずです。
 明橋医師の著書を読んでいると、はっと気づかされることが多々あります。
 例えば、子どもにキレてしまうとき。明橋医師は親が子どもに非現実的なことを求めているからと指摘しています。子どもは自己中心的だし、失敗するし、言うことを聞きません。それを大前提にするとキレている自分がアホらしくなりますし、「キレても意味がないから、どうしたら私の話に耳を傾けようとするか考えよう」と別の発想も湧いてきます。

 明橋医師の著書のレビューの中には「理想論で現実的ではない」「親が子どもの奴隷になる」というような意見もありました。
 確かに、私も夫が単身赴任で一人で保育園児と小学校低学年の子どもの面倒を見ていたときは、「早く早く」と子どもをせかし、話を聞いてあげる時間なんてありませんでした。明橋医師の著書に書いてあることなんて全然実行できていなかったのですが、それでも理想論とは思っていませんでした。これだけは押さえておいたほうがいいなと考えた最低限のことだけ心がける、それ以外はできる範囲で、という感じで参考にしていたからです。

 育児書全般に言えるのですが、「子どものために全部を実行しなければいけない」と縛り付けると「不可能」「奴隷」みたいな極端な結論を出してしまうのではないでしょうか。子どもの抱っこが身体的につらければ、ハグでいいと思います。仕事で忙しいときには、子どもをせかす場合もあるでしょう(ただ、仕事をがんばり過ぎていないかの見直しをしたほうがいいかと)。「子どもが絶対」ではなくそのときどきの優先順位で、柔軟に子育てができるといいですね。

 「子が宝なら、母親も宝」と明橋医師は語っています。

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産後うつは、体を温かい血で満たして治す

たびたび「産後を見据えて妊娠期間を過ごしてください」と書いてきました。
しつこいですね、私は(笑)。

産後に気持ちが深く落ち込むことは珍しくありません。
「なんだかつらくて、いつもポロポロと涙が出てくる」
「赤ちゃんがかわいいはずなのに、私はちっともかわいいとは感じられない」
「母乳が出なくて、ミルクに頼りっぱなし。ダメなお母さんなんだ」
「私なんかいないほうが、赤ちゃんにはいいんだ」
「私が生きていたって、なにもいいことはない」
さまざまな思いが頭を駆け巡るでしょう。

産後うつで亡くなられた女性は、決して夫など周囲の人間が無理解だったり、赤ちゃんと一緒にほったらかしにされたりしたわけではありません。
ちょっと様子が変だからとご家族が昼夜問わず見守っていたにもかかわらず、目を離したすきにお母さんが突発的な行動を取ってしまうケースもあります。
「お母さんにもっと温かい言葉をかけてあげれば」「周囲がサポートしてれば」というレベルではないと私は思います。

産後うつで悲しいことは、赤ちゃんを取り巻くすべての人が「私が悪い」と自分を責めてしまうこと。
しかし、誰が悪いのでもありません。
お母さんの温かい血が足りないだけ。
ですから、お母さん本人も周りの人も、お母さんの体が温かい血で満たされるように心がければいいのです。

産後にお母さんの血が不足しないように、妊娠期間に準備することを私は『女性の体の知恵』でお勧めしました。
しかし、なんの準備もせずに産後に突入したからと言って、手遅れなんてことはまったくありません。

体はボロボロ、心はクタクタで大変かもしれませんが、体から心の状態を回復させていくことはできます。
うつっぽいときは、温かい血が足りていないのです。
赤ちゃんをかわいく思えないのは、血が足りないから全身が栄養不足で疲れ切っているからです。

ただでさえ出産で血を失うのに、産前にかなり食事制限をしたり、悩みやストレスを抱えていたりすると、体は血がさらに欠乏状態になります。
そのために、体に力が入らなくなったり、気力が出なかったり、気持ちがうつうつと晴れなかったり、母乳が出にくくなったりしているわけです。
お母さんの努力が足りないわけではありません。
心がけが悪いわけでもありません。
温かい血が足りていないのです。
冷えているのなら温めればいいし、足りないのなら補えばいいわけです。

ところで、血とは東洋医学の概念で、血管を巡って各臓器に栄養や潤いを与えるエネルギーです。
西洋医学の「血液」は「血」という言葉からつけられたと聞いています。
紀元前に生まれた東洋医学では、人間の体を丹念に観察したり、植物や鉱物を摂取したときにどう反応するかを調べたりして、全身を一つの生命ととらえて病気を治してきました。
うつを含めた産後のトラブルについても古くに把握されているので、生活術や食事法などが考え出されてきたのです。
「産後うつは、体を温かい血で満たして治す」「産後を見据えて妊娠期間を過ごしてください」と私がお伝えするのも、東洋医学的な観点からです。

体を温かい血で満たして治すには、次のような生活を送ってください。

1 とにかく横になること
昼間でも部屋を薄暗くして、布団に入ってひたすら横になってください。
気持ちが落ち着かなかったり、じっとしているのはつらいかもしれません。
しかし、体は血が不足しています。
これは感情にがんじがらめで、自分が消耗しているのに気づいていないのです。
つらかろうが、泣けてこようが、とにかく布団に入って横になってください。
泣きたかったら、エンエンと声を挙げ、涙を流していいのです。
「赤ちゃんがかわいくない」と思ってもかまいません。
すべて「温かい血が私には足りていないのだ」と思ってください。

横になって活動を止めることで、血が肝に蓄えられます。
肝に蓄えられた血が、子宮など出産でダメージを受けた臓器の修復に役立ちます。

2 スマホやパソコンを使ったり、テレビを見たり、本を読んだりしないこと
目を使うと、肝に蓄えられた血が消費されます。
ですから、目を使うのは必要最小限にします。

3 自分も赤ちゃんも毎日ふろに入らないこと
赤ちゃんをふろに入れると、親は体力を消耗します。
ですから回数を減らしたほうがいいわけですが、そもそも、毎日ふろに入れないほうが赤ちゃんの皮膚にとって望ましいのです。水に濡れず、お湯に漬からず、タオルでこすらないことで、皮膚のバリア機能が守られるからです。
根拠は『ふろに入らないほうが美肌になる』に書いたので、不安があればお母さん以外の人が読んで、お母さんに説明してください(お母さんは目を使わないでください)。
日本ほど清潔な水がたっぷり使える国はほとんどありません。
世界の基準で考えると、ふろに毎日入るほうが異様なのです
「おふろに入らなければ」「赤ちゃんをおふろに入れなければ」という思い込みは捨ててください。

4 便通を整えること
赤ちゃんの便ばかり気にして、自分の便通には一切気をかけていないお母さんは少なくないでしょう。
腸が動き、胃もきちんと動いて、消化・吸収活動が正常に行われるのです。
便が気持ちよく出ていなければ、頭痛や肩こり、体の重さなどの不調が現れます。

一般に、食物繊維の摂取は便秘解消に役立つと言われています。
血が足りなくて胃腸も弱っているときに、不溶性食物繊維をたくさん摂取するのはお勧めしません。
不溶性食物繊維が腸の水分を吸って膨らんだときに、不溶性食物繊維を含む老廃物を腸は便として排出できるほどのエネルギーがないからです。
実際、食物繊維を摂取してかえって便秘が悪化し、ガス腹に苦しんだと話す人はたくさんいました。

なかなか便秘が解消しないときは、腸が冷えている可能性があります。
冷たい飲食物は摂取を避けて、常温以上の温かい飲食物を取るようにしましょう。
東洋医学から離れますが、インドの伝統医学アーユルヴェーダの医師は、白湯(温かいお湯)を勧めています。
寝る前に、ちょっと熱い60℃以上の白湯をたっぷり飲んでください。
暑い季節で白湯を飲むと不快と感じたら、もっと低い温度でかまいません。
白湯にレモン汁と塩を少量、飲んでおいしいと感じる程度加えるのもいいでしょう。

腸を温めることは、温かい血を全身に巡らせるうえでも大事なこと。
腸が温まっているかどうかは、便通でわかります。
お母さんは自分の便通に注意を向けてみましょう。

5 血を補う食品を取ること
大ざっぱに言うと、赤い食品が血を補います。
クコ、ニンジン、トマトなどが挙げられます。
また、米、もち米、ハチミツ、黒ゴマ、卵、豚肉、鶏肉、エビ、イカ、ウナギなどの中から「今食べたい」と感じるものを選んで食べましょう。
お母さんは横になるのが大事なので、周囲の人に買ってきてもらうか、弁当やレトルトでもかまいません。

血が足りていないのに「料理は自分で作らなきゃ」なんて考えてはいけません。
優先順位の第一は、体を温かい血で満たすこと。
血が増えてきたかを判断するには、便通があるかどうかが一つの目安になるでしょう。
便通が整ってくると、おそらく「ちょっと気分がいいかも」と感じられるはずです。

それから、初めて昼間に起き上がるようにしてください。

最後に、母乳が出ようと出まいと、赤ちゃんをかわいく思えようと思えなかろうと、世話ができようとできなかろうと、お母さんは赤ちゃんの近くにいたほうがいいと私は思います。
母乳育児について  赤ちゃんには母乳よりもお母さんがそばにいてくれることが大事です  で書きましたが、どんなお母さんでもかまわないから、赤ちゃんにはお母さんが必要ではないでしょうか。
赤ちゃんにはお母さんがただそこにいて、お母さんが気を与えてくれて、赤ちゃんの気を受け取ってくれればいいのです。

産後を健康に過ごし、子育てで楽にするために役立てていただきたい、妊娠中の過ごし方や心身のケアを1冊にまとめました。会陰切開・妊娠線の予防や母乳育児、逆子の直し方、無神経な周囲の人との付き合い方、骨盤ケア、子どもの育てにくさ、教育資金のため方などを紹介しています。

『女性の体の知恵  妊娠から子育てまで健やかに過ごす』
9784990901103
 

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母乳育児について  赤ちゃんには母乳よりもお母さんがそばにいてくれることが大事です

赤ちゃんは母乳以上に
お母さんの「気」を必要としている

母乳育児がうまくいかなくて落ち込み、追いつめられるお母さんは少なくありません。
母乳が出ないことや、赤ちゃんが上手に乳頭をくわえられないことで泣いているお母さんに私が遭遇したこと。
そして、母乳とミルクを物質的に比較する時代ではなく、ミルクを飲ませて子どもの成長に影響するという科学的データはないということを、『女性の体の知恵』にもくどくど書きました。

母乳が出ないのは、なぜでしょうか。
これは赤ちゃんのためにお母さんの体を守る、自然の計らいではないかと私は思うのです。

東洋医学では、血液などのように全身を巡り、各臓器に栄養を与え、筋肉や骨を作る働きを「血(けつ)」と読んでいます。
妊娠中はお母さんの血の働きで赤ちゃんにも栄養が行き渡り、出産後は傷ついた産道や子宮を回復させるときにも血が働きます。
ですから、産後のお母さんは血が不足しているのです。
昔は産後の肥立ちが悪くて母乳が出ない、また出産中や産後に命を落としたお母さんは少なくありませんでした。

母乳は血液から作られることは、よく知られています。
妊娠や出産で血が足りなくなり、お母さんの生命活動に危険信号が現れると、母乳を作る働きはいったん休んでしまうでしょう。
それは、生まれたばかりの赤ちゃんには、お母さんの存在が必要だからです。

生物学的には、人間の生まれたて赤ちゃんは運動能力がほかの動物と比べて未熟です。
周囲の人間に放っておかれれば、赤ちゃんは死んでしまいます。
その意味で、最も身近な大人であるお母さんは、赤ちゃんにとってなくてはならない存在。
赤ちゃん自身は、母乳については、もらい乳でもミルクでもかまわないので、お母さんにそばにいてほしいのです。

もう一つ、東洋医学には「気(き)」という働きがあります。
うろ覚えで恐縮ですが、野口整体の創始者である野口晴哉(のぐちはるちか)氏が、例えば人間の脳、心臓、肺、肝臓、脾臓、腎臓などの臓器をただ集めてきても、人間の生命活動は生まれない。それぞれの臓器が働き、肺で取り込まれた酸素が血液に乗って心臓に送られるように臓器が互いに関係し合うのは、気の力であるといったことをなにかの本で書いていたと思います。
私は気は命そのものだととらえています。

血が全身を巡るのも、血液から母乳が作られるのも、気の作用だと言えるでしょう。
さらに、気は自分の体の中だけに働くのではなく、周囲の人間や動物、そして自然や宇宙にも働きかけたり、逆に影響を受けたりすると考えられています。

赤ちゃんはお母さんのおなかの中にいるときからお母さんの気で育っていて、生まれた後も深く、濃く赤ちゃんとお母さんは気を通わせ合っているというようなことを、野口整体を指導している天谷保子(あまややすこ)さんに聞きました。
生まれたばかりの赤ちゃんは、母乳だけででなく、と言うよりも母乳以上に、お母さんの気を必要としているのではないでしょうか。

お母さんと触れ合い、またお母さんから注意を向けられるだけで、赤ちゃんはお母さんの気を受け取っています。
「なんとかして母乳を与えたい」とインターネットで情報を集めようとしたり、落ち込んだりイライラしたりすると、赤ちゃんはお母さんの気を受け取れないので苦しくなるでしょう。
赤ちゃんが泣くのは、母乳がもらえないからではなく、お母さんの気が欲しいからかもしれません。

赤ちゃんを育てるのは、母乳以上にお母さんやお父さんの気の働きが大きいのではないかと、私は思います。
ただそばにいて、赤ちゃんに注意を向けているだけで、赤ちゃんはその気を受け取ってすくすくと育っていくはずです。

血を補う
生活術

私はここ数日「温かい血で女性の体を満たすということ」というテーマで文章を書いてきました。
それは私だけでなく多くの女性が、初潮を迎えてから女性としての体が発達する過程で、いびつな価値観を植え付けられてきたのではないかという疑問があったからです。

能力が高いほうがお金も称賛も得られるから、やみくもにがんばって結果を出そうとする。
しかし女らしくないと「負け組」に思えて、胸を大きく見せるために寄せて上げるきついブラジャーをしたり、ダイエットに励んだりする。
男性に気に入られたくてセックスの要求を受け入れ、実際は気に入られるどころか踏みつけられている。
セックスしても妊娠すると困るし、月経なんかないほうがいい。

妊娠中は、産後太りを気にして食事制限に励んだお母さんは少なくないでしょう。
産婦人科についても、私の場合は医師の目の前で体重計に乗らされて、体重が変わらなければ○、増えていれば×を出された経験があります。
妊娠中に体重を同じ数値で維持しながらも、東洋医学の気と血が足りていれば出産や子育ても元気に乗り切れるのでしょうが、残念ながら「数値」にこだわってしまう人の多くは気と血が不足しているように見受けられます。
体重、血糖値、血圧などといった外部の「数値」に意識が向いてしまって、体が温かくてエネルギーに満ちた感じがするか、ちょっと痛みやコリがあるけどおおむね元気かなど、自分の体の感覚を無視してしまっている傾向があるからです。

数値や「母乳育児を成功させるコツ」といった情報がいったん除外して、自分の体に手を当てて状態を確認してみましょう
まず両手を合わせてみる。
右手と左手で温かさや重みが違うと感じたら、体の左右でバランスが崩れているかもしれません。
そして足の指を触ってみる。
驚くほど冷えていたら、気が不足して全身を血が巡っていない可能性が高いでしょう。
側頭部を押してみる。
痛みやコリを感じたら、イライラや緊張が強くて歯を食いしばったり、頭を使い過ぎていたりするはずです。

今の自分に気づくだけでも、すでに体は回復する道を歩み始めていると思います。
そのうえで、私はブログでもしつこく書いていますが、とにかく横になって休みましょう
ふろに入らず、居留守を使って外部の人に会わず、家事をせず、ひたすら寝るのです。
血が消耗するので、目と頭は休ませます。産後はパソコン、スマホは使いません。

そして、『女性の体の知恵』で書き足りなかったと反省しているのですが、「産後1カ月を見据えて準備したいこと」の項目でストックしておきたい食材として挙げた以下の食品は、血を増やすために役立ちます。
保存方法はさておき、以下の食品を試しに摂取してください。
「おいしい」と感じられたら体に不足している食品と考えて、積極的に食べるといいでしょう
――
 ホウレンソウ→おひたしやゴマ和えなどにして冷凍
 ニンジン→きんぴらなどにして冷凍(消化しやすいように、細く切る)
 鶏肉→鶏スープなどにして冷凍
 ヒジキ→煮物、サラダにして冷凍
 黒豆→煮物にして冷凍(汁と豆は分けてから冷凍する)
 クコの実→乾燥してあるので常温保存、そのまま食べられるしスープにも入れられる
 ナツメ→乾燥してあるので常温保存、そのまま食べられるしスープにも入れられる
 黒ゴマ→乾燥してあるので常温保存、すってからおひたしなどにかける
――

お母さんの体が温かい血で満たされてくると、血液から母乳が作られやすくなるでしょう。
ただ、赤ちゃんにとって、お母さんがただそばにいてくれて、自分に注意を向けてくれることがなによりの「栄養」です。
目と頭を休ませて、体をいたわってください。

産後を健康に過ごし、子育てで楽にするために役立てていただきたい、妊娠中の過ごし方や心身のケアを1冊にまとめました。会陰切開・妊娠線の予防や母乳育児、逆子の直し方、無神経な周囲の人との付き合い方、骨盤ケア、子どもの育てにくさ、教育資金のため方などを紹介しています。

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「相手は北朝鮮と思ってネゴシエイトすべし」という西原理恵子さんの名言

 「Bが車にひかれた!」
 小学4年生の息子が、Bくんを連れて家に戻ってきました。
 Bくんは保育園時代からの友人で、私もよく知っている男の子です。自転車で友人たちと移動中に、車と接触し、転倒したのだそうです。玄関に招き入れて体の状態を見ると、側頭部にたんこぶ、左ひざに擦り傷と打ち身。目立った出血はありませんでした。そこで、たんこぶを冷やす処置を行い、仕事中のBくんママに電話をしたのですが、「またおかけ直しください」のメッセージ。普段生意気なBくんは、「ボクは左右を確認したのに、車がいきなり出てきたんだ」などと涙ぐんでいます。
 Bくんを処置している間に、小学4年生軍団が自転車でわらわら集まってきて、「ひいた車はそのまま立ち去った」「オレも自転車とぶつかった」などと大騒ぎになりました。うるさくて近所迷惑だし、Bくんは歩ける様子だったので、私は軍団を連れて事故現場に向かうことにしました。
 現場は、信号はありませんが、道幅は広く、とても見通しの良い交差点。「左右確認して、ぶつかるものだろうか」と疑問に思いつつ、写真を撮影しました。
 Bくんが歯医者に行くと言うので自宅まで送っていき、Bくんママには体の状況と処置の内容、事故の場所をメールで伝えました。
 家でそのメールを私が打っているときに、息子が一言。「Bが飛び出しちゃったんだよね~」。
 涙ぐんで自分は悪くないと必死に訴えているBくんに気遣って黙っていたようなのですが、実際は左右を見ずに道路に出てしまったとのこと。
 私は「やっぱりね」と思いました。息子には、自転車に乗っているときは特に注意して、左右確認を行い、ブレーキが利きにくい場合は修理に出すことを伝えました。

 今回の件で思い出したのは、「相手は北朝鮮と思ってネゴシエイトすべし」という西原理恵子さんの名言。著書で人生相談を行っているのですが、「娘がウソをつく」というような悩みに、子どもは北朝鮮と思いましょうと答えていたのです。

――
相手は北朝鮮なんだから、正直言ったって通じないし、ウソをつくのが当たり前。絶対最後に「知らない」「そんな約束していない」って言いだすので、そこをどうやってネゴシエイトするかですね。(p.58)
――

 Bくんについても、かわいいものではありますが、「左右をしっかり確認した」というのは見え透いたウソ。まあ、自分の子どもではないので、ウソはウソのままにしておきました。
 それはさておき「あなたはウソをついているでしょ!」と詰問しても、「ついていない!!」と答えるだけの無用な時間が過ぎていくわけです。本当のことを言うまで怒り続けたり、泣いて謝るまで責めたりするのは、大人の態度ではないということでしょう。
 ウソをつくのを前提にして、将来のためにどのように話を展開させればいいのかを計算する必要があるのでしょう。
 それにしても子どもに限らず、大人でも「相手は北朝鮮」と思われるような人は少なくありませんね。Bくんを放置して逃げた車の運転手も、その手の人なのでしょう。「相手は北朝鮮と思ってネゴシエイトすべし」。なるほど。相手に腹を立てたり、正論を戦わせたりするよりも交渉上手になる必要がありますね。

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女性のからだの知恵 自信のない親だから子どもと一緒に成長できる

悩みは
心の糧

 子育ては毎日が試行錯誤。「子育てに100%自信がある」という親は、ほとんどいないのではないでしょうか。自信がないからこそ、ちゃんと子どもの成長を見届けようとするし、多くの人の声に耳を傾けようとします。
 親が自信がないのは、子どもにとって決して悪いことではありません。悩みこそが私たちを親として成長させてくれるエネルギーです。しかし、不安や心配が大きくなると、子育ての負担感が強くなってしまいます。
 子どもが問題を起こすと、たいていの場合、お母さんが責められます。事情を知らない周囲の人々が、「甘やかしすぎ」「育児放棄」などと好き勝手なうわさ話をするでしょう。
 学校の教師もお母さんを教室に呼び出して、「お友達とケンカして、困っています」「きちんと教育してください」「もっと愛情をかけてください」などと話すかもしれません。
 そんな状況でお母さんは神経をすり減らし、深く傷つくとともに、子どもの言動に過敏になります。きつく子どもをしかることもあるでしょう。
 ところで、育児と教育は次元が異なると私は考えます。
 育児は、赤ちゃんから就学前までに、主に体をケアして、健康に成長させること。
 教育は、就学前から社会人になるまでに、1人前に育てること。
 育児については親の課題で、教育は子ども自身の課題です。
 小学生以降の子どもが公共の場で問題を起こした場合、世間の目があるので親が子どもの代わりに謝罪をします。しかし、心理面では「これは子どもの課題であって、私の課題ではない」ととらえるの本筋だと思います。親と子どもで課題を分けてしまうと、親の肩の力が抜けませんか。
 そのうえで、なにが問題だったのかを子どもに説明し、どうやって解決するのかを子ども自身で考えると、親は子どもを叱る必要はなくなります。
 学校については、教室で生徒たちにどのように教えるのか、クラスをどのようにまとめていくのかは、教師の課題です。教室で起こっている問題を家庭の問題にすり替えるのは、教師の責任逃れとも言えるでしょう。教室で子どもがどのように振る舞っているのかを知るのは親の課題。子どもをどのように振る舞わせているのかは教師の課題。お互いの課題に土足で踏み込まないことが礼儀ではないでしょうか。
 同様に、うわさ話をしたり、心無い言葉をかけてきたりするのは、親切ではなく無神経な人。無神経な人からは自分が離れるしかありません。このときのキーワードは「ありがとうございました」です。口に出してもいいですし、心の中でもかまいません。「ありがとうございました」という過去形の表現は、相手との関係もいったん終了させることを意味するのです。

お母さんは
いつもがんばっている

 お母さんには休みがありません。たとえ体調を崩して食欲がなくても、子どもたちの食事は作らなければならないし、お母さんが動かなければ家の中はグチャグチャで混乱するでしょう。
 子どもを生んでから、お母さんはずっとがんばり続けているのです。その活躍を「私はえらい!」「すてき!」「いつもがんばっている!」と自分で褒めましょう。
 自分を褒めるのに抵抗がある人は、鏡に映った自分に向かってお辞儀をすることをお勧めします。
 もう一つ、1日の中で1分でもかまわないので、自分の体を整える時間を作りましょう。例えば、きれいに片づけた部屋は、なんとなく毎日を暮らしていると、1週間後には物があちこちに散らかった状態になります。同様に私たちの体も、本来は秩序だった生命活動を行っているのですが、日々の生活を送る中で次第に秩序が崩れ、心身が不健康になっていくのです。部屋を片づけるように、体を整えることは気持ちよく生きていくうえで欠かせません。骨盤回しは、いつでも・どこでもできるのでお勧めです。
 体が整うと、子育てなどの悩みをうまく受け止めたり、受け流したりする心の柔軟性も自然と生まれます。
 
 

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赤ちゃんの発達は多種多様

小さい頃の赤ちゃんは、なにを見ているのか、どのように感じているのか、親でもよくわかりません。
泣きやまない理由がわからず、うろたえてしまうことも多いことでしょう。

しかし、それはあたりまえ。
親子といっても他人ですから、「親だから赤ちゃんのすべてがわかる」なんて無理な話です。
「親だからわかっている」、「すべてわからなくてはならない」という思い込むと、心理的な負担が増えるばかりです。

育児書や母子手帳には赤ちゃんの成長・発達のペースやパターンが書かれていますが、実際は書かれているとおりに成長・発達するとは限りません。
赤ちゃん一人ひとりで、まったく異なると考えたほうがいいでしょう。

生後6カ月頃に、まったく寝返りしない赤ちゃんは珍しくありません。

また、はいはいをしない赤ちゃんもいます。
はいはいする代わりに、座ったまま移動する赤ちゃんがいます。
はいはいについても、「ずりばい」と呼ばれるおなかをつけたはいはいなど、さまざまな形があります。

食事についても、5カ月になる前から食事に興味を示し、どんどん離乳食が進む赤ちゃんもいれば、1歳近くなってもほんの少ししが食べない赤ちゃんもいます。
例を挙げればきりがありません。

親は育児書や母子手帳だけでなく、インターネットで情報検索して、「うちの子は正常か?」「もうはいはいする時期ではないか?」などと“正しさ”を求めがちです。
しかし、本やネットで調べてわかる情報の多くが、発達の平均値でしかありません。

離乳食を食べないで栄養不良になったり、夜泣きで睡眠不足になったりする赤ちゃんはいません。
多くの問題は、赤ちゃんの成長が解決してくれます。

赤ちゃんが眠らない、食べないといった親にとってたいへんな日々は、永久に続くわけではありませんが、その最中は先が見えません。
しかし、「なんとかしたい」と親ががんばると、どんどんつらくなっていきます。
赤ちゃんのペースに合わせて、親が待つ姿勢でいたほうが、子育ては楽になります。

■発達過程で見られる現象
○出べそ
赤ちゃんは腹筋が発達していないため、おなかに力が入るとおへそが盛り上がってくる場合があります。
この現象は腹筋の成長に伴って消えていきます。
押さえたりする必要はありません。

○発熱
小さい子どもを検温して、体温計の示す数値だけを見てあせる必要はありません。
以下の様子ならば、水分補給と薄着を心がけてください。
□家族やおもちゃに反応する
□ミルクやお茶などで水分が取れる
□泣いたり話したりできる
□眠れる

「厚着して汗を出させたほうがいい」と言う人もいるでしょうが、逆効果です。
熱がこもって体温が上がり、脱水してしまいがちです

また、おでこを冷やすことは、爽快感はあっても熱を冷ます効果はありません。
子どもが嫌がるときは、無理にやらないほうがいいでしょう。

子どもの体に余分な負担をかけずに、治癒力が働くのを待ちましょう。

熱が低くても、以下の様子ならば、受診させましょう。
□セキがひどくて眠れない
□息をする度に肋骨や鎖骨の間がへこんだり、小鼻が膨らんだりする

熱があっても子どもは遊びたがるものです。
親が無理に寝かしつけるのはたいへんなので、自由にさせておきましょう。
しばらくすると、疲れて眠るはずです。

○オムツかぶれ
オムツかぶれの予防・治療法はオムツをしないことですが、そういうわけにはいきません。

対策は、おむつ交換のときに、皮膚をこすらないこと。
ウンチをした後に、おしりふきでゴシゴシこすると、かぶれやすくなります。
またおしりふきに消毒成分が含まれていると、それによってかぶれることがあります。
ウンチで汚れている部分は、お水やお湯で軽く洗い流し、こすらないように注意しながら脱脂綿で水分をふき取るといいでしょう。

不思議なことに、おむつメーカーによって、おむつかぶれが起こったり起こらなかったりするものです。
赤ちゃんの皮膚と相性のいいメーカーを見つけるのもいいかもしれません。

入浴時にはせっけんを使わないようにして、皮膚への刺激を減らしましょう。

追記(2016年6月7日)

産後を健康に過ごし、子育てで楽にするために役立てていただきたい、妊娠中の過ごし方や心身のケアを1冊にまとめました。会陰切開・妊娠線の予防や母乳育児、逆子の直し方、無神経な周囲の人との付き合い方、骨盤ケア、子どもの育てにくさ、教育資金のため方などを紹介しています。

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育てにくい子どもほど、触れ合って長所を伸ばしましょう

「育てにくい」のは
性格ではなく脳に原因

 自分の子どもを育てていく中で、周囲の子どもたちと比べて、次のような傾向が見られる場合があります。

□すぐに腹を立てる
□動作が遅い
□こだわりが強い
□姿勢が悪く、ぎこちなく動く
□遊戯や遊びなどで、周囲の子どもたちと動きを合わせられない
□表情が乏しい
□公共の場でも大声を上げ、じっとしていられない

 親としては困ったり、イライラしたりすることもあるでしょう。「落ち着きがない」「マイペース」などと性格が原因と思って、その性格を直すために強くしかっても、ほとんどが効果がないはずです。周囲の人は振り回されるのですが、当の本人は自分の傾向に気づかず、ケロッとしているからです。しかられても、なぜしかられているのかについて本人は理解していません。
 上記の傾向は、脳の機能が原因で引き起こされているケースがあります。一般には「発達障害」と総称されていますが、この記事では「発達傾向」と表記いたします。
 小児リハビリテーションの専門医に話を聞いたところ、脳性まひや発達の問題がある子どもは増えているという印象があるそうです。理由としては、高齢出産、そして医療の進歩で未熟児の死亡率が減っていることが関係しているようです。
 そしてリハビリテーションについて、言葉の訓練といった専門的なことではなく、まず手足を触ることから始まると語っていました。自宅でも、日常的に家族から触れられている子どもは、ニコッとほほえんだり、関節が滑らかに動いたり、よい変化が現れるとのこと。
 たいせつなのは、子どものよいところ、できるところに触れること。姿勢が悪いと、親はつい子どもの背中をさすって姿勢を正しくさせたがるものです。そうではなく、例えば以前よりもうまくボールが投げられたら、「上手になったね」と声をかけながら腕に触れるのです。
 「リハビリテーションとは、できないことをできるようにするのではありません」と専門医は語っていました。子どもができることに親が触れて注目することで、できないことが補われて、子ども全体の能力が伸びていくのです。

触られた子どもだけでなく
親自身も安らぐ

 手を触れる効果は、親から子どもへの一方方向のものではありません。触れている親も、孤独や不安を癒されているのです。肌の温もりの気持ちよさ、そこから得られる安らぎで、「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンや「愛情ホルモン」と呼ばれるオキシトシンの分泌が促されることがわかっています。
 脳の発達を目的に子どもの体に触れるのは、子どもにとっても親にとっても、あまり心地よくはないでしょう。押しつけがましい触り方や力みの入った触り方では、子どもは不快に感じて、拒否するかもしれません。
 私たちは痛い部位に手を当てたり、緊張したときにはそっとほおを手でなでたりします。こうした本能的で無意識の手の動きが、痛みや緊張を和らげるのです。子どもたちにも同じように、触れるといいのではないでしょうか。

直接肌を触らなくても
「触れ合う」ことができる

 東洋医学では、この世界は「気」という生命エネルギーのようなものが満ちていて、自然も人間も気によって動かされ、変化していくとされています。
 整体師の片山洋次郎さんは著書で、発達傾向が見られる子どもは、直接のふれあいや言葉を使わなくても、気でコミュニケーションをする力を持っていると書いていました。直接肌を触れ合わなくても、私たちは気を送ったり、気を受けたりして交流をしていると考えれば、触られるのを嫌がる子どもに対しては、親は気を送っていればいいのではないでしょうか。具体的には、子どもの体から自分の手を数センチ離して、そっとなでるしぐさをする。敏感な子どもは、それだけで親とふれあえると思います。
 気については、誰でも知らずにその力を使っているものです。「痛むおなかに、無意識に手を当てる」には、手から出る気に痛みを和らげる力があるからだと、東洋医学では考えられています。つまり、気を送るのに特別な能力や、神がかった力は必要ありません。お金をもらって気を送るような人に頼むのではなく、子どもを生み、育てている親の気が、子どもにとっていちばん必要だと私は思います。
 触られて気持ちよさそうにしている子どもには、たくさん触る。触られるのが苦手な子どもには、気を送る。こうした触れ合いが、子どもの短所と思われるようなことも気にならなくなるほど、長所を伸ばしていくことにつながるのでしょう。

参考資料 『整体。共鳴から始まる』(著/片山洋次郎 ちくま文庫)

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赤ちゃんの頃から教育資金をため始めましょう

準備が早いほど
家計が楽になる

 赤ちゃんが生まれると、おむつや衣類、ミルクなどで、「お金がかかるな」と実感しているお母さんも多いでしょう。隠れた費用としては、水道光熱費もグンと上がります。
 そんな時期に、教育資金について考える余裕はないかもしれません。しかし、赤ちゃんはグングン成長していき、幼稚園や保育園に通い始めると、子どもどうし・お母さんたちどうしの社会ができます。「○○ちゃんがスイミングに行っているから、私も行きたい」「○○くんは英語を習っているから、うちも習わせたほうがいいかしら」などと、周囲に合わせる形で習い事を始めるケースが出てきます。
 このタイミングで、子どもの成長段階を考慮せずに習い事を始めてしまうと、大学進学を検討する段階で教育資金が不足する可能性があるのです。「周囲に合わせて、なんとなく習い事に行かせる」ということを防ぐため、まだ赤ちゃんの段階で教育資金についても考えておくことがたいせつです。
 幼稚園、小学校、中学校、高校で、日本の家庭が子どもの教育にいくらぐらい費やしているのか、文部科学省が「子供の学習費調査」として調査結果をウェブサイトで公開しています。幼稚園から高校まですべて私立に通った場合(4,367,715円)と公立に通った場合(1,435,792円)を比較すると、私立の学習費は公立の3倍となります。理由として、寄付金や教科外活動費、つまりクラブ活動や芸術鑑賞会など授業と直接関係ない部分でも、私立のほうがお金がかかるからだと考えられます。このことから推測できるのは、「子供の学習費調査」の項目にはない子どもの衣服や持ち物も、私立のほうがお金がかかっているのではないかということです。私立に通わせているのだから、クラスメートの持ち物と同等に、子どもにも高い物を持たせたいと思うのが親心ではないでしょうか。
 子どもの成長段階に合わせてかかる費用が変わります。もしも「大学までは行かせたい」と思っているのならば、高校3年生になる18歳から逆算をして、赤ちゃんの頃から貯蓄を始めたほうがいいでしょう。積み立ては早く始めるほど、少額で済むからです。
 子どもが18歳になるまでいくら貯蓄しておけばいいのか、私が以前に複数のファイナンシャルプランナーを取材したときの答えは「300万円」でした。この数字はあくまでも目安ということでしたが、0歳の頃から1カ月に1万4千円ずつ積み立てていくと、300万円に達します。

早期教育のために
資金が足りなくなりことも

 0歳の頃から1万4千円ずつ積み立てたうえで、計画的に習い事などに通わせるのでしたら、子どもが大学受験を控えたときに慌てることはまずないでしょう。
 しかし、子どもの成長を考慮せずに、早期教育で英語教室や体操教室などに通わせてしまうと、進学に必要なお金を用意できなくなる可能性もあります。日本企業も一昔前とは違って、賃金カットやリストラがあります。働いているお父さんやお母さんが、これからもずっと稼ぎ続けていけるのでしょうか。今の収入を維持し続けていけるのでしょうか。
 私が思うには、早期教育を行わせている親は、子どもが大学まで進学することを前提としています。早期教育のおかげで貯蓄が増やせず、子どもが強く希望している私立理系の大学には進学させられないという結果になったら、本末転倒になります。
 もう1点、親の中には「教育資金をためられなかったら、奨学金を利用すればいい」と考えている人もいました。しかし、奨学金は借金。子どもたちが社会人になったら、返済しなければなりません。奨学金の返済があるために、社会人になって結婚し、子どもが生まれてからも貯蓄がまったくできない家庭を、私は取材したことがあります。こうして、子どもや孫にまで、借金が連鎖していくのでしょう。ですから、奨学金に頼らない、教育資金計画を立てておきたいと思うのです。

大学に行く必要があるか
親子で検討したい

 教育資金という経済的な負担という観点だけでなく、お金をかけて大学まで進学させることが、子どもにとって幸せかどうかという点も、少し考えておく必要があるかもしれません。
 少子化が進む日本では、「大学全入」時代が到来しています。子どもの人数が少ないので、大学や短大への入学希望者が減り、えり好みしなければ誰もが大学や短大に入学できるようになってきています。その一方で、東大、京大、一ツ橋、慶応、早稲田など「銘柄大学」の受験競争は激しくなっています。「大学卒業かそうでないか」ではなく「銘柄大学かそうでない大学か」で格差が生じているので、過去よりも狭き門になっているのです。
 そんな時代の中、なぜ子どもを大学に進学させたいのか、親として考える必要が出てきたのではないでしょうか。
 少子高齢化で、日本の社会では働き手が圧倒的に不足します。大企業に入社しても、定年退職までずっといられるとは限らず、リストラは珍しくありません。
 銘柄大学を出ても、子どもの働き口が保証されるとは限らない今の日本で、厳しい受験勉強をさせてまで大学に進学させる意味はあるのでしょうか。大学進学は、あたりまえのことなのでしょうか。大企業や名の知れた企業に所属しなくても、周囲の人の役に立って喜ばれ、それが収入につながるような、新しい働き方はあるはずです。子どもの性質や個性に合わせて、さまざまな進路を親子で検討する時代になってきたように、私は感じています。


○子どもが大学進学を希望する可能性もあるので、赤ちゃんの頃から教育資金の積み立てを始める(目安は18歳までに300万円)
○教育資金計画に合わせて、習い事を決める(積み立てが困難になるなら、習い事をやめる)
○子どもの性質や個性を重視して、進路を親子で検討する

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産後の便秘対策は抜かりなく

便が岩石のように
固まって出せなくなる

 赤ちゃんの世話に忙しくて、産後のお母さんは自分の便通の有無など覚えていないと思います。しかし、1週間ぐらい、便秘をほうっておくと、便の水分が大腸で吸収されて、岩石のように固い便になります。
 特に母乳育児を行っているお母さんは、体内の水分が母乳に使われるので、軽い脱水状態になりがちです。その結果、便の水分量も減って、便が固くなってしまうのです。
 便が固くなると、大腸の内部を移動するのが困難になり、便秘が悪化します。また、便意が起こると、猛烈な痛みを伴います。固い便のために、トイレの中で長時間、脂汗を流したお母さんは決して少なくないことでしょう。
 便通を整えるために、ぜひ取り入れてほしいのが、白湯を飲む習慣です。白湯とは、一度沸騰させたお湯を、口がやけどしない程度の熱さまで冷ましたものです。
 白湯を飲む健康法の由来は、「アーユルヴェーダ」というインド伝統医学です。
 朝は、起きてから口を軽くゆすいで、ちょっと熱めの白湯をコップ1杯以上、たっぷりと飲みます。そして、夜は、寝る前に、60度以上の熱い白湯をコップ1杯ほど、ゆっくりと飲みます。ただし、量は目安なので、自分の体調に合わせて加減しましょう。
 起床後と就寝前には必ず白湯を飲むようにするほか、昼間も食事の前に白湯を飲むといいでしょう。
 白湯で消化管が温められると、消化・排泄が促されて、便通が整えられます。そのときに、未消化物(アーユルヴェーダでは「アーマ」)が排出され、体内で毒素が発生しにくくなると考えられています。

便のタイプで
体質・傾向までわかる

 アーユルヴェーダに詳しい蓮村誠医師は、白湯にクミン、ジンジャー、コリアンダーの3つを加えて飲むと、消化・排泄を促す効果がより高まると語っています。この3つは、スーパーのスパイス売り場でたいてい購入できます。
 粉末のクミン、ジンジャー、コリアンダーをスプーン1杯ずつ、スパイス用の瓶に入れて、よく振って混ぜておきましょう。こうして作ったミックススパイスを、白湯を飲む直前に一振り入れて、ゆっくりと飲みましょう。
 アーユルヴェーダの考え方では、便のタイプでその人の体質や考え方の傾向がわかります。体質に合わせて、ミックススパイスにクミン、ジンジャー、コリアンダーを一振り足すといいでしょう。
○カチカチ・コロコロの便、便秘と下痢を繰り返す → 風(乾燥しやすい、不安になりやすい) → クミンを足す
○便秘よりも下痢しやすい → 火(炎症が起こりやすい、怒りっぽい) → コリアンダーを足す
○ねっとり・ベタベタした便 → 水(むくみやすい、不活発) → ジンジャーを足す
 なお、白湯の作り方については、蓮村医師は「水を沸騰させてから、そのまま10~15分、加熱し続ける」と指導しています。
 しかし、子育て中に15分ほど加熱する時間を取ることは、なかなか困難でしょう。白湯で消化管を温めると同時に水分を補給するしたら、一度沸騰させるだけかまいません。時間に余裕が出てきたら、正式な作り方を試すといいでしょう。

ーグルトや根菜で
解消しない便秘も多い

 一般的に、便秘解消で勧められるのは、乳酸菌と食物繊維の摂取です。しかし、ヨーグルトや根菜、海藻などを熱心に食べても、便秘が改善しないという声を多数聞いてきました。
 医師や専門家に改善しない理由を聞くと、答えはさまざま。摂取量が足りない、タイミングが悪い、温めて取るとよい、そもそもヨーグルトは日本人の腸に合っていないなど、多くの答えが返ってきました。
 結果、はっきりした理由はわからないが、乳酸菌と食物繊維の摂取をしても便通がよくならないときは、積極的に取る必要はないということです。
 加えて、母乳育児を行っているお母さんは便が固くなりやすいので、不溶性食物繊維の摂取を少し控えましょう。不溶性食物繊維は、大腸の水分を吸収して便のかさを増す働きをするため、便がさらに固くなってしまうからです。
 ふだんから便秘がちの人は、産後は便が固くなりすぎて、いきんでも出なくなる状態になることがあります。この状態を解消するには、座薬や浣腸をするしかありません。出るに出ない状態に備えて、薬局で座薬や浣腸を購入しておくといいでしょう。
 「便が出ないけど、まあ、いいか」と軽く考えると、ものすごく痛い目に遭うのが便秘です。赤ちゃんの便の状態だけでなく、お母さん自身の便の状態もチェックしましょう。
 

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産後1カ月が女性の将来を左右する(改)

テンションを
コントロールしましょう

 出産直後に、テンションが上がっているお母さんは珍しくありません。赤ちゃんが生まれてきたことを大喜びするのは、もちろんいいことです。しかし、テンションが異常に上がりすぎると、その後、ガクッとテンションが下がって、うつっぽい状態に陥る可能性があります。そして、夜中の授乳で寝不足などが続くと、体力とともに気力も落ちて、育児がつらいものになってしまいます。「赤ちゃんがかわいいと思えない」「そんな私は母親失格」と、産後うつまでこじらせる場合もあります。
 ですから、出産直後のテンションをコントロールすることは、とてもたいせつです。
 テンションが上がりすぎたときでも、下がりすぎたときでも、足湯は効果を発揮します。
 足湯で足を温めることで、テンションが上がりすぎた、いわば頭がのぼせた状態を解消できます。同時に、末梢である足を温めて全身が穏やかに温められると、落ち込んだ気分から回復することができるのです。
 また、妊娠・出産によって、骨盤は開いて不安定な状態です。ですから、出産直後から、骨盤を締めて安定させるケアを始めて、腰痛などを予防しましょう。
 締める位置は、骨盤の下部。つまり、太もものつけ根です。骨盤の上部に当たるウエストのあたりを締め付けると、骨盤本来の形に戻りにくくなるので、注意してください。
 骨盤を締めるグッズについては、専用のベルトなども発売されていますが、帯など丈夫で長い布でもかまいません。立った状態だと内臓が下垂して骨盤が開いているので、骨盤を締めるのは横に寝た状態で行います。

冷やさず、動かず
物を見ず

 産後10日までは、「冷やさない、動かない、目を使わない」を心がけてください。
 「冷やさない」については、前述の足湯のほか、おふろに入らないようにして、髪も洗わないこと。かゆみが気になる場合は、温かい蒸しタオルで拭くといいでしょう。
 冷たい飲み物や食べ物は、体を冷やします。夏でも、できるだけ摂取しないようにしてください。
 「動かない」ようにするため、家族が不在のときは電話は留守番電話にして、インターフォンの音を消しましょう。来客や宅配便などは家族に対応してもらいます。
 10日程度、掃除しなくても健康を害しません。できるだけ家事は行わないようしましょう。
 妊娠中と同様に「目を使わない」ために、新聞・雑誌・小説など小さな字は読まず、テレビやパソコン、スマートフォンの画面はできるだけ見ないようにします。
  産後10日から3週間までも、「冷やさない、動かない、目を使わない」を継続します。
 外出せず、1日じゅう、パジャマで過ごし、自分を徹底的に甘やかしましょう。
 おふろに入るときは短時間で済ませ、髪を洗わないようにしてください。頭髪が濡れていると、全身が冷えてくるからです。
 掃除は気になるところだけを乾拭きするにとどめます。

骨盤を締めているだけで
体形は戻る

 産後3週間が過ぎたら、「床上げ」の準備を始めます。体を動ける状態に戻していくため、産褥体操、腹式呼吸やストレッチを始めます。ただし、まだ骨盤が不安定な状態なので、開脚するストレッチは避けましょう。
 産後1カ月以降は、たくさん歩いて、体力の回復を早めます。
 産後2カ月を過ぎてから、本格的なストレッチや腹筋運動などの筋力トレーニングを始めます。テレビやパソコンを使い始めるのも、このころからがいいでしょう。
 産後の体形が気になって、腹筋運動などを早く行いたいと焦る人もいるでしょうが、だいじょうぶです。骨盤を締めて安定させるケアは、腰痛を防ぐだけでなく、体形を整える効果もあるからです。
 赤ちゃんの抱っこで手首が痛くなってきたら、抱っこのしかたを変えましょう。古武術の手の動きを利用すると、赤ちゃんの重みが手首から腕全体に分散されるので、腱鞘炎になることを予防できます。
 産後1カ月の過ごし方をちょっと工夫すれば、精神的なつらさや体の痛みを引きずることがありません。また、体形についても、産後1カ月を無理しないほうが、すんなりと元の状態に戻れるのです。

産褥体操 その1
1 座布団などを重ねて15センチぐらいの台を作り、その上に腰を乗せて、あおむけになる。両手は力を抜いて、床に置く
2 両足を腰幅に開き、息を大きく吸って、ゆっくり吐きながら両足を上げる
3 息を吐き切る直前に、一気に力を抜いて足を下ろす

褥体操 その2
1 背すじを伸ばして立ち、足を腰幅に開いて、内またになる(両足の親指を内側に向ける)
2 息を吐きながら、上体を前に倒す
3 息を吐き切ったら、大きく息を吸ってから、息を吐きながら両ひざを寄せる
4 ひざを寄せたままの状態で、上体を立てる

腱鞘炎を防ぐ抱っこのしかた

 通常の抱っこでは、手のひらを使って赤ちゃんの体を支えます。そうすると、手首に赤ちゃんの重みが集中するため、腱鞘炎になりやすいのです。
 手首だけでなく、腕や背中などに重みを分散させるには、手の甲を使って赤ちゃんの体を支えます。このとき、中指と薬指を内側に折り曲げると、重みが全身に分散されて、より疲れにくく、痛みも出にくくなります。

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