カテゴリー「漢方薬・西洋薬」の6件の記事

秋のカゼと漢方薬  葛根湯も活躍しました

空気が乾燥してのどや鼻の中も乾燥しがちな秋のカゼで使った漢方薬
麦門冬湯(ばくもんどうとう) のどなどに潤いを与えてタンが出やすい状態にしたり、セキを鎮めたりすることが目的
葛根湯(かっこんとう) ゾクゾクと悪寒がするときに体を温めて楽にすることが目的
銀翹散(ぎんぎょうさん) のどの腫れを抑えることが目的
辛夷清肺湯(しんいせいはいとう) 黄色でねっとりとした鼻水やタンを出やすくすることが目的


めったに体調を崩さない
息子もカゼをひいてしまった

今年の秋は異常気象。
半袖で過ごせるほど暑い日もあれば、冷たい雨が降る日もあって、気温の変化が激しいと感じています。
昨日の昼間も、もう11月なのに半袖の人を多数見かけました。
このような天候のせいでしょうか、近所の小学校でマイコプラズマ肺炎が流行していたそうです。

2週間ほど前の金曜日、ウチの息子が発熱し、学校を早退しました。
帰宅後寝かせていたら土曜日の朝には熱が下がったので、息子は友達と近所のお祭りに出かけました。
すると土曜日の夕方に再び熱が上がり、セキが出るようになりました。
食欲もあり、元気なのですが熱が下がらない状態が月曜日の午前中まで続きました。
私は「普段のカゼとは違う」と思ってインターネットを検索すると、マイコプラズマ肺炎の症状に似ています。
そこで抗生物質をもらうために、息子を近所のクリニックに受診させました。
「マイコプラズマに違いない」と私は確信していたのですが、胸部レントゲン検査と血液検査からどうやら違うという診断になりました。
胸部レントゲン検査の写真で肺にもやっとした影がなく、血液検査の結果で白血球とCRP(炎症反応)の値が高かったのです。
医師も「検査結果からマイコプラズマ肺炎ではないということになりました。しかし、レントゲンでぼんやりとしている部分が肺炎が起きかけているのではないかと」などと話していました。

その医師の話では、マイコプラズマ肺炎でマクロライド系抗生剤が効かない例が増えているとのこと。
5歳の男の子の症例を胸部レントゲン検査の写真を使いながら説明してくれました。
それでテトラサイクリン系抗生剤を息子に使うことにしました。
医師は「1日飲んで効果がなかったらすぐに受診してください」と話していたのですが、ピタリと合ったようで、息子の症状は1日で消えてしまいました。

カゼでも元気だった息子とは大違い!
私は頭も体も痛くてたまらなかった

息子がカゼをひいたときに、「私も危ないな」とは思っていました。
病人の世話をするわけですから感染しても仕方ありません。

しかし、私のカゼの症状も使った薬も、息子とは完全に違いました。
2日間寝込み、頭痛や体の痛みなどの諸症状の強さは、インフルエンザに匹敵していました。

私の場合は、最初は肩とふくらはぎの痛みが現れました。
「昨日、重量挙げでもしたかな?」というような筋肉痛に近い痛みです。
ストレッチやマッサージでは解消せず、不快だなと思っていました。

痛みが4~5日続いた後、昼間に起きているのがつらくなり、寝込むと同時に発熱とセキ。
ゾワゾワと悪寒がして、頭が締め付けられるように痛みました。
いつものカゼとは様相が違い、「これはウイルス性じゃなくて細菌性だな。抗生物質が欲しいな」と思いました。
ただ、寝込んでしまったのが祭日。
近所の病院は開いていません。

それで一か八か、2年前に耳介軟骨膜炎 (じかいなんこつまくえん)を患ったときに処方されたペニシリン系抗生物質を飲むことにしました(自己責任です!!)。
加えて、悪寒がするので葛根湯も飲みました。

葛根湯は、悪寒にはとてもよく効きます。
スムーズに熱が上がっていくので、不快な寒気が取れて気持ちがいいのです。
私の場合は、「1日3回食前」などは気にせずに、再び悪寒が現れたら葛根湯を飲みます(これも自己責任です)。
つまりは、症状が出たら何度も葛根湯を飲み、症状が消えたらすぐにやめるということです。

悪寒とともに咳も出たので、麦門冬湯も飲みました。
空気が乾燥する秋のカゼに、潤いを与える麦門冬湯はぴったりだと思っています。
加えてタンが絡まるとセキがひどくなるので、枕元にはお茶を用意して、ちびちびと飲んでいました。

発熱した翌朝、明らかに体の調子がよくなっていたので、引き続きペニシリン系抗生物質を飲みました。
朝から夕方にかけては、頭痛が激しかったものの、熱は37度台まで下がりました。
頭痛については、「いきなり棒で殴られた」という感じの耐えがたい痛みでした。
夜にだるくなってきたので、ペニシリン系抗生物質と葛根湯、麦門冬湯を飲んで8時に寝ました。
しばらく眠った後で目覚めると、パジャマが汗でグッショリ。
着替えてからもう一度眠り、次の朝で頭痛もかなり軽くなりました。

セキをし過ぎたせいでのどが腫れて敏感になっていたので、銀翹散と辛夷清肺湯を飲みました。
銀翹散については「カゼのひき始めでのどが痛いとき」が適用とされていますが、カゼの末期だろうがのどが痛いのですから飲みました。
私の場合は、葛根湯と同様に「1日3回食前」などは気にせず、のどが耐えがたく痛くなったら銀翹散を飲んでいます。
辛夷清肺湯については鼻詰まりや副鼻腔炎に使われることが多いようですが、「清肺」とつくからには呼吸を妨げるタンにも効果があるはず。
また、この頃のタンがなんとなく後鼻漏も混じっている気がしたので、辛夷清肺湯にした次第です。

カゼをひいて思ったのは、漢方の専門家が言っていたとおり、カゼは症状がコロコロ変わるということです。
痛み→発熱→セキ→頭痛→のどの腫れ→後鼻漏(かな?)・タンというのが、今回の私のカゼの症状の変遷でした。
症状は体の自然治癒力が高まった結果として現れることがあります。
細菌が体に入ってきた反応で炎症が起こり、痛みが現れるわけですが、痛みが強すぎると眠れなくなる場合があります。
睡眠が浅くなると体力が回復しないので、自然治癒力が高まり過ぎるのも問題があると言えます。
漢方薬には自然治癒力を適度に高めたり弱めたりして、私たち人間にとってちょうどいい状態に整える効果があるように思います。
漢方薬のパッケージには「カゼのひき始めに」などと書かれていますが、「のどが乾燥しているから」「再び熱が上がりそうだから」などと自分の今の症状に合わせて漢方薬を利用するといいのかも。

空気が乾燥してのどや鼻の中も乾燥しがちな秋のカゼで使ったのは、以下の漢方薬でした。
○麦門冬湯 のどなどに潤いを与えてタンが出やすい状態にしたり、セキを鎮めたりすることが目的
○葛根湯 ゾクゾクと悪寒がするときに体を温めて楽にすることが目的
○銀翹散 のどの腫れを抑えることが目的
○辛夷清肺湯 黄色でねっとりとした鼻水やタンを出やすくすることが目的

以前のブログに「『なんでも葛根湯』には注意を」と書いたことがあります。
そのせいか、検索ワード「葛根湯 効かない」でブログにアクセスする人も多いようです。
私自身、葛根湯が効いていることをここで少し強調しておきたいと思います。

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花粉症対策として漢方薬の使い分け~「花粉症に葛根湯」続き

先日、花粉症に葛根湯を導入した経緯をブログに書きました。

その後、花粉症の症状を観察していると、悪寒がしたり、顔が腫れぼったくなったり、さまざまに変化していきました。
それに合わせて、使う漢方薬も変えました。

背すじがぞくぞくして調子が悪い→葛根湯
のども鼻も腫れぼったくて、ヒリヒリした感じがする→銀翹散
つーっと透明な鼻汁が、気づかないうちに出ている→小青竜湯

漢方薬を使い始めて、自分の体感に注意するようになりました。
おもしろいことに、花粉症でもカゼでも、時間の経過や体調によって、現れる症状が変わっていくんですね。

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花粉症に葛根湯を導入!

私が花粉症になったのは、おそらく7年前。
悲しいことに、結婚がストレスになって、花粉症になり、果ては円形脱毛症で頭髪の3分の1近くを失ってしまいました。
そんなスタートを切った結婚生活も、もう7年……

それはさておき、少しずつ症状が出てきた今年の花粉症でしたが、昨晩、一気に悪化。
観察すると、食後しばらくはだいじょうぶだったのですが、2時間ぐらいたって、体熱が低くなったとき、ヘェックショーン!ズルズル!ゴシゴシ!かゆーい!が始まりました。
入浴すると治まったのですが、深夜、やはりクシャミが止まらず、背筋に悪寒。

これは「風寒」の症状と同じだとわかったのです。

原因がウイルスであれ、花粉であれ、寒気がして鼻水が出て、体が冷えると症状が悪化するわけです。
これは葛根湯がいいだろうと、今朝、ドリンク剤を飲みました。

今のところ、調子がとてもいい!

継続した結果については、また後日ご報告します。

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口内炎に使う漢方薬について

漢方雑誌を読んでいたら、口内炎やドライマウスなどの治療に漢方薬を使っている歯科医の話が複数掲載されていました。
知人が再発する口内炎に困っているので、漢方薬について調べてみました。

●口内炎とは?
口の中にできる炎症

●一般的にいわれている原因
 粘膜の損傷
やけどや歯が当たるなどの物理的な刺激
 口の中の乾燥
だ液の分泌などが不足しているとき
 全身状態の低下
胃腸障害、ストレス、ビタミン(特にB2)不足、抗生剤やステロイド剤の使用
 ウイルス感染や帯状疱疹、ガンなど

●西洋医学の治療
 ステロイドの軟膏や貼付薬の使用
 ビタミン剤の内服

●漢方での説明
 胃熱
お酒や脂っこい食品の過剰摂取が招く
精神的ストレスによって生じる
 脾胃湿熱
食事の過剰摂取
軽度の食あたり
 脾胃不和
胃腸機能が弱い
 心熱
動悸
興奮しやすい
不眠

●漢方による治療
口内の症状とかかわりが深い臓腑は、「心」と「脾胃」です。

心には、血液を循環させる働きがあります。
血管が多く集まっている舌や顔面は、心とかかわりが深いため、心に熱が発生すると、口内炎などの症状が現れやすくなります。

脾胃は、胃腸・膵臓・肝臓・胆嚢・小腸など、消化器系の臓器の働きすべてを指しています。
飲食物から吸収した栄養分を気に変えます。
脾胃の機能が低下すると気を生産できなくなり、また、余分な水が体内に停滞してしまいます。

胸焼け、吐き気、胃痛、ゲップ、胃もたれ、下痢などの胃腸症状があれば脾胃、なければ心を中心に治療を進めます。

体内の熱(熱邪)は、炎症を起こしたり、潤いを失わせたりします。
上に昇る性質もあるので、熱による症状は、顔など体の上部によく現れます。

体内に不要な熱が発生している場合は「実」、水分不足によって熱症状が出る場合は「虚」です。
実の場合は熱を取り除き、虚であれば水分を補って熱の発生を抑えます。

●胃腸症状がない口内炎の治療
 炎症が強く、舌に黄色い苔がある→「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」
赤くて痛みのひどい口内炎ができ、少したつと白くただる
黄苔(おうたい:黄色い舌苔)ある

 口内炎の色が白っぽく、あまり痛まない→「清心蓮子飲(せいしんれんしいん)」
痛みがあまり強くない
舌苔は少ない
手のひらや足の裏がほてる
寝汗をかく
のどが渇く

 口内炎が治りにくく、再発しやすい→「温清飲(うんせいいん)」
口の中が乾く
皮膚が乾燥する
顔につやがない

●胃腸症状も伴う口内炎の治療
 赤みや痛みが強く、胸焼けがある→「白虎湯(びゃっことう)」「三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)」
のどが異常に渇く
冷たいものを飲みたがる
顔が赤い
便秘しがち
不眠傾向にある

 急性で炎症が激しく、吐き気や食欲不振を伴う→「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」
黄苔がある
比較的体力がある
のぼせやすく顔色が赤い
イライラしやすい

 口内炎が慢性化し、ふだんから胃腸の調子が悪い→「半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)」
みぞおちがつかえた感じがする
嘔吐しやすい
おなかがゴロゴロ鳴る
軟便・下痢の傾向

 口内炎がたくさんできて、治りにくい→「小建中湯(しょうけんちゅうとう)」「六君子湯(ろっくんしとう)」
赤みも痛みも少ない
胃腸が弱い
疲れやすい
カゼをひきやすい

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「なんでも葛根湯」には注意を 続編

○漢方での健康についての考え方
漢方では、正気(せいき:生命力や低抗力)より、邪や病邪(じゃ、びょうじゃ:生体機能を阻害する自然現象や体内に発生した有害物)が勝ったときに病気になると考えてれています。

ですから、「邪を避ける」ことと「正気を高める」ことが健康な毎日を送るためのたいせつです。

病気の治療では「邪の除去」と「正気の回復」の2つを同時に行います。

○漢方でのカゼの分類
外界からの邪には、風(ふう)寒(かん)熱(ねつ)湿(しつ)燥(そう)などがあり、中でも風(ふう)は、常に動き回り、ほかの邪を運ぶといわれています。

風に寒が運ばれてきてカゼを引いた場合を風寒型、熱が運ばれてきた場合を風熱型と分類します。

風寒型は冬に多いと考えられています。
主な症状は、悪寒、体が冷えることによる関節痛や筋肉痛などです。
治療では体を温める生薬を含む漢方薬を用います。
体の表面から汗とともに邪を追い出す、つまり発汗させて治すわけです。

葛根湯、麻黄湯、桂麻各半湯は風寒型に適用で、最初の段階で寒気が強く、汗が出ていないことが絶対条件です。
冬に多い、寒気が強いタイプのカゼに使います。

風熱型は春から初夏にかけて多いと考えられています。
主な症状は体の熱感、のどの痛み、冷たい水を欲しがるのどの渇き、ふとんをはぎたいような状態で自ら汗を出すような高熱です。
治療では熱を冷ます生薬を含む漢方薬を用いて、炎症をおさえます

この場合には、銀翹散などを使います。
銀翹散は健康保険が適用されないため、清上防風湯で代用されることもあります。

インフルエンザには、風寒型、風熱型、湿温型などさまざまなタイプがあります。
ただ、風熱型が多く、急激に症状が悪化します。

銀翹散(ギンギョウサン):金銀花(キンギンカ)、淡豆し(タンズシ)、連翹(レンギョウ)、牛蒡子(ゴボウシ)、桔梗(キキョウ)、淡竹葉(タンチクヨウ)、甘草(カンゾウ)、荊芥(ケイガイ)、薄荷(ハッカ)、羚羊角(レイヨウカク)
金銀花・連翹各12.0
淡豆し・淡竹葉・牛蒡子各9.0
薄荷・荊芥・桔梗各6.0
甘草3.0

清上防風湯(セイジョウボウフウトウ):防風(ボウフウ)、薄荷(ハッカ)、荊芥(ケイガイ)、連翹(レンギョウ)、黄連(オウレン)、黄ごん(オウゴン)、山梔子(サンシシ)、桔梗(キキョウ)、川きゅう(センキュウ)、白し(ビャクシ)、枳実(キジツ)、甘草(カンゾウ)
防風・桔梗・連翹・白し・川きゅう・黄ごん各2.5
山梔子2.0
枳実・甘草各1.5
荊芥・薄荷・黄連各1.0

○漢方薬の飲み方
漢方薬には煎じ薬とエキス剤があります。

エキス剤は煎じ薬から有効成分を取り出したもので、その大半は顆粒状や粉末状の形状です。

漢方薬はエキス剤も煎じ薬も、一般的に食事の20~30分前に服用します。
胃が空のときに服用することで胃腸から吸収されやすく、また、その後に食事を摂れば胃腸への刺激も緩和されるからです。

エキス剤はそのまま口に入れて服用するのが一般的ですが、できればエキス剤をいったんお湯に溶かして飲みましょう。
胃の中で薬が均等に広がって吸収され、胃への刺激も穏やかになるからです。

お湯で溶かすときは、まずエキス剤をカップに入れてからお湯を注ぎます。
エキス剤が2種類以上の場合、いっしょに混ぜて溶かしてもいいでしょう。

アルミの袋に入った漢方製剤メーカーのエキス剤は、長期の保存に耐えられます。
一方、病院やクリニック、薬局などでエキス剤を分包したものは、保存が難しくなります。
2週間以上保存する場合は、乾燥剤を入れた密閉容器に入れてください。

煎じ薬については、煎じる前の生薬は乾燥しているため、1年くらいの長期保存が利きます。
ただ、虫やカビがつきやすい生薬もあるので、密閉したポリ容器やチャック付きのポリ袋などに入れ、冷蔵庫で保管しましょう。

煎じた薬液は腐りやすく、夏の高温多湿の状態に置いておくと1日で腐ります。
薬液は冷蔵庫に入れて保存し、その日のうちに早めに服用するのが原則です。
遅くても3日以内に服用するようにしてください。

漢方薬を服用するときは、きちんとした診断を受ける必要があります。
個々の体質や症状に合った治療方法を探します。
加えて、同じ人でも体調や症状に波があり、病状の経過で漢方薬の処方が異なってきます。

適切な漢方薬が処方されれば、急性の病気なら2~3日で効果が現れます。

○漢方と東洋医学
「漢方」も「東洋医学」も、中国発祥で日本古来の医学を表す言葉ですが、言葉が生まれた時代と背景が異なります。

中国最古の王朝とされる殷(紀元前15~11世紀)の甲骨文字には、医術の記録があります。
その後、伝説的な医術の名人の教えや経験をまとめた医学書が漢(紀元前202~後220年)の時代にまとめられ、「陰陽五行論」に基づく医学的な理論体系を紀元前後に確立しました。

古代中国の医学は、周辺諸国に広がり、日本には今から1500年以上前の紀元5~6世紀(奈良時代)に伝わりました。

時代は下り、江戸時代以降に、長崎の出島にオランダ人の医師が来て、オランダ医学が日本に入ってきました。
そこで、オランダ医学と区別するために、従来の医学に「漢方」という言葉が使われるようになりました。
漢方の漢とは、中国漢王朝の漢ではなく、漢民族を指しています。
オランダ医学は、その漢字表記である阿蘭陀から「蘭」の字を取り、蘭方と言われるようになりました。

明治になると政府は、西洋化を推し進める富国強兵政策を取りました。
そして明治16年に、西洋医学を勉強した者のみを医師とするという法律を施行しました。
結果、日本で漢方は衰退していきました。

明治43年ごろ、ごく一部の医師が漢方の重要性を説き、漢方を学ぶ医師が現れ始めました。
こうして、漢方復活していくのです。
東洋医学は、このころに使われ始められた言葉とされています。

参考文献:『週刊朝日 増刊号 漢方2007』、東邦大学医療センター大森病院ホームページ

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「なんでも葛根湯」には注意を

最近は、「カゼを引いて発熱するのは、体の防御機能(免疫)が働いているからである。ひどく高熱でないときに解熱剤は使わない」という風潮があります。
ですから、体を温める効果のある食品のショウガや漢方薬の葛根湯を、どんなカゼにでも多く取る人もいるのではないでしょうか?

しかし、「どんなときでも体を温める」という考え方は改めましょう。
特に子どもは、夏カゼのときに体を温めすぎて、熱がこもって体調を崩す可能性もあるので、注意が必要です。

東洋医学では、大まかに、カゼを2種類に分けて考えます。
悪寒(寒気)がするカゼと、すぐ熱が出るカゼです。

厳密に2種類を分けるのは難しいかもしれません。
ただ、冬場、強烈に冷えて寒い時間が長いときは、悪寒のするカゼ。
一方、最初から熱感が強く、のどがひどく腫れているときは、熱のカゼと考えればいいでしょう。

1 悪寒がするカゼ(ゾクゾクする寒け、透明な鼻水、セキ):傷寒(しょうかん):風寒型
悪寒は、外からの寒さに対抗して筋肉を震わせて体温を上げようとする反応です。

悪寒を伴う発熱に、解熱剤は逆の効果です。
体を温め、頭だけを冷やしましょう。

葛根湯は傷寒中風のカゼで、初期の最も軽いとき、例えば筋肉痛があるときに適しています。
葛根湯の主薬である麻黄は、桂皮とともに体表を温める作用があり、その作用で発熱を助け、カゼのウイルスを追い出します。
漢方薬を服用して体を温めているので、体を冷やす食べ物はよくありません。
アイスクリームやミカンは避け、リンゴは食べましょう。

カゼのときに足が冷える人は、水分が下半身に集まっています。
この場合小青竜湯が適します。
小青竜湯は、鼻水の多いカゼにもよく効きます。

どんなに体を温めても悪寒が強い場合、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)が適当です。

胃腸を悪くして寝込む人は、麻黄が配合された漢方薬は強すぎるので避けましょう。
初期のカゼなら桂枝湯が適しています。
もたれ、食欲不振などの胃腸障害があれば、柴胡桂枝湯が適当です。

○漢方薬を選ぶコツ
軽いカゼ→香蘇散(香附子、紫蘇葉、陳皮、甘草、乾生姜)
軽いカゼ、首のコリ、筋肉痛→葛根湯(葛根、麻黄、大棗、桂皮、芍薬、甘草)
関節が痛む→麻黄湯(麻黄、杏仁、桂皮、甘草)
水っぽいタンや鼻水が多い、足の冷え→小青竜湯(麻黄、芍薬、乾姜、甘草、桂皮、細辛、半夏、五味子)
どんなに体を温めても悪寒がする→麻黄附子細辛湯(麻黄、細辛、附子)
胃腸の調子が悪い→桂枝湯(桂皮、芍薬、甘草、大棗、生姜)
重度のカゼ、食欲不振、吐き気→柴胡桂枝湯(さいこけいしとう:柴胡、半夏、桂皮、芍薬、黄ぎ、人参、大棗、甘草、乾生姜)
桂麻各半湯(けいまかくはんとう)

2 悪寒がないカゼ(熱感、のどの腫れ、乾き、頭痛、セキ):温病(うんびょう):風熱型
悪寒が無い・軽いカゼで、高い熱が出ることがあります。
春から初夏にかけて、特に子どもに多く見られます。
また、インフルエンザのような流行性ウイルス感染症も、このタイプに分類されます。

まずは体を涼しい場所で休ませ、頭を冷やしましょう。

熱を下げることが第一なので、鎮痛解熱剤でよいでしょう。
適している漢方薬は、銀翹散や香蘇散などです。
のどが腫れて痛むときは銀翹散を使います。

○漢方薬を選ぶコツ
軽いカゼ→香蘇散(香附子、紫蘇葉、陳皮、甘草、乾生姜)
セキ→桑菊飲
熱が出てのどが痛い→銀翹散(ぎんぎょうさん:金銀花、連翹、薄荷、桔梗 甘草、淡竹葉、荊芥、淡豆し、牛蒡子、羚羊角)

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